法定調書合計表と給与支払報告書(総括表)の印

税理士の言い訳

以前、「税理士の署名」と「法人代表者の署名」という記事を書きましたが、
この時期は、法定調書合計表と給与支払報告書(総括表)に押す印鑑についての問い合わせが多いです。
個人事業主さんの場合は、会社の印鑑などありませんので、あまり気にしていないと思いますが、
法人の場合、代表者の個人印?会社の代表社員(丸印)?角印でもOK?という質問です。
税理士をやっている以上、明確に答えなければならないと思うのですが、私も明確な答えを持っている訳ではありません。
なんとなく、これまでの問題が起きたわけではないので、あくまで町田市の税理士の私見だと思ってください。

法定調書合計表の印鑑

法定調書合計表の「提出者」欄に「代表者氏名印」との記載があります。
私の場合、法人でも個人の認印(=社長の認印)を押してもらいます。
法人代表者の署名」で書いたような法的根拠はありませんが、
これまでの税理士をやっている間に問題となった実例もありません。
したがって、代表者の認印でいいのではないかと思っています。

給与支払報告書(総括表)の印鑑

総括表には、「代表者の職氏名印」という欄があるので、この「印」というのは何なのか?とういことです。
文字だけ見ると「代表者の」は「職氏名印」にかかってくるので、
会社の代表印(●●株式会社代表取締役之印など、丸印といわれているもの等)を押してもっています。
これも法的根拠は見当たりません。
役所によっては、手続きに必要なものとして「書類に法人の代表者印の押印が必要」とHP上に記載しています。
(例えば、武蔵野市)
では、代表取締役と記載のない印鑑(●●株式会社など、角印といわれているもの等)ではだめなのか?と聞かれると、
角印を押しただけでも問題が生じたことはありません。
また、私の経験上、代表者の個人印で提出したことはありませんので法的根拠が見つからない以上、なんとも言えません。
給与支払報告書(個別別明細書)には、印など押さずとも全く問題がないのに、総括表だけは何故?というのが率直な感想です。

源泉徴収票に印鑑は必要か

法定調書合計表や給与支払報告書(総括表)について書きましたが、従業員等へ渡す源泉徴収票への押印は?ということもよく聞かれます。
が、これも私のやり方しか書くことができません。
私は、「印刷したもの」には押印せず、「手書きのもの」や「印刷した後に手書きで修正したもの」だけに押印してもらっています。
押印は丸印でも角印でも良いと思っています。
なぜ、手書きの場合のみ押印するのかというと、改ざん防止としか言いようがありません。
印刷でも改ざんできるよ!と言われればそれまでですが、なんとなくそうしています。

法的根拠は全くないのか

町田の税理士の私見ばかり述べていますので、少し法的根拠を探してみました。
まず、源泉徴収票については、所得税法施行規則第93条に記載があります。
しかし、「印」という文字はなく「支払をする者の氏名又は名称、住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地及び電話番号」
と書かれているだけです。
では、押印しなくていいのか?と言われると、
国税通則法124条で、国へ提出する義務のある書類には押印義務が課せられています。
法定調書とは、「所得税法」、「相続税法」、「租税特別措置法」及び「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」の規定により税務署に提出が義務づけられている資料をいいますので、個々の支払調書の提出は義務があるといえますが、合計表には疑問符がつきます。強いて言うのなら、個々の支払調書に押印しないので合計表に押印ということでしょうか・・・

また、給与支払報告書の提出義務は地方税法317条の6に記載されています。
しかし、給与支払報告書は申告書でないので地方税法72条の35(法人の代表者等の自署及び押印の義務)等のように押印義務は課せられないのではないか?と思われます。

税理士のひとりごと

無用な時間を費やしたくなのであれば「押印」、とかつては言っていました。
しかし、今や電子申告の時代です。
電子申告に押印はありません。
電子申告では、自署・押印に代わるものとして経理責任者の電子署名及び電子証明書の添付が必要になります。
電子申告の際、税理士は関与先の電子署名及び電子証明書を添付しているのか?と聞かれるとそうではありません。
平成19年1月より、税理士が代理送信する場合、納税者本人の電子署名を省略し、
税理士の電子署名のみで電子申告可能となりました。
理由は、電子申告を普及させるためですね・・・
それなら、紙で出す場合も税理士が提出限り、
署名・押印も不要ではないのか?と考えてしまうのは私だけでしょうか・・・